最初は海ひつじのデザインを考えるのに
かなり苦労した。
ボツ1:アザラシに毛をまいて
エビフライにしてしまったやつ。
ボツ2:あたまは羊で身体は海獣みたいなやつ。
ボツ3:プードルみたいなやつ。
ボツ4:金魚風。
当初はこれで行こうかと思ったのだが、
ちょっとごちゃごちゃしすぎた気がしてやめた。
最終的にはシンプルにこんな感じになった。
海獣というよりはシーサーペントっぽい身体に
羊のあたまがくっついた感じの海ひつじと、
個人的に地味にハマっているウミウシ。
牛と羊はどちらも牧場で見かける動物であり、
どちらもウシ科という共通点があるので、
一貫してる感じがあって良いかもと思い、これに決定。
今回、あまりくっきりした絵にしたくなかったので
線画を描かずにいきなり白黒塗りに入ることにした。
筆ツールで水墨画のような淡い雰囲気を
出しながら描きたかったのだが、
背景が透明色のまま筆ツールで描いても
混色されず強い色ででてしまうので、
背景を白で塗りつぶしてから描いた。
↓こんな感じで
一応、筆の描画濃度を下げることでも
淡い雰囲気は出せるのだが、
マーカーで重ね塗りした感じにはなるけど
混色っぽさがでないんだよなぁ。
全体の形を取りながらぬりぬり。
キャラ部分は完成。
それから背景を描いていくのだが、
キャラを描くときに全体を白く塗りつぶしたために、
背景がキャラのレイヤーに隠れてしまうという問題があった。
苦肉の策でキャラレイヤーを乗算モードにして
背景レイヤーが見えるようにした。
乗算モードにした副作用で、
水面模様と海ひつじの尻尾が重なってしまったが、
これはこれで味が出たと思って採用。
次にオーバーレイモードで色を乗せていく。
今回はパート別に色レイヤーをわけず、
1枚のレイヤー内で塗ってみた。
海ひつじの下面に明るい青緑を入れて、
海底からの反射光に照らしだされたような感じにしたり、
岩に少し深緑を混ぜてコケっぽくしたりしてみた。
最後に水面から射す光の柱エフェクトを描いて完成。
この作品、当初は他に比べシンプル過ぎて
さびしかったかもなと思っていた。
でも2015年カレンダーが完成してからしばらくしたあと、
人の視界の仕組みについて知る機会を経て
この絵に対する見方が変わった。
人が何かを見ようとしているとき、
それはどんな色で形で質感で・・など
細かい情報が脳に送り込まれていく。
が、意識していない周囲の景色は
たとえ視界の中にあっても、ほとんど情報が送られない。
それを応用して、視線が集まる部分は細かくし、
それ以外は思い切って粗くすることで、
擬似的に人の視界を再現し、
伝えたいことをより強調することができるのだそうだ。
改めて自分の絵を振り返ってみると、
今回の2015年カレンダーの中では
この作品が一番それを実践できていたと思う。
わたしはつい画面にごちゃごちゃ描いてしまいがちだが、
この作品以降、見る人はどこに視線が行くのか、
どこを強調してどこを省略したらいいのかなど、
意識して構図を考えるようになった。
◆2015年カレンダー◆
2015年1月~2月「ひつじ雲テイマー」
2015年3月~4月「牧羊犬の昼下がり」
2015年5月~6月「散髪ひつじ」
2015年7月~8月「海ウシと海ひつじ」
2015年9月~10月「死神ひつじ」
2015年11月~12月「Merry's Xmas」